【2026年版】「実印」と「契約印」の違いとは?法的効力と電子署名への置き換え方を徹底解説

「この契約書は実印でお願いします」と言われたとき、なぜいつもの認め印(社印)ではいけないのでしょうか?

デジタル化が定着した2026年においても、この「使い分け」の根底にある本人の真正性を担保する仕組みを知っておくことは、法務リスクを回避するために不可欠です。


1. 「実印」と「契約印」の定義と違い

まず、それぞれの用語が指す意味を整理しましょう。

実印(じついん)

  • 定義: 住民登録をしている市区町村、または法務局にあらかじめ登録した印鑑のこと。
  • 証明方法: 役所が発行する「印鑑登録証明書」をセットで提出することで、その印影が間違いなく本人のものであることを国や自治体が証明します。
  • 用途: 不動産売買、銀行ローン、公正証書の作成、遺産分割など、極めて重要な手続きに使用します。

契約印(けいやくいん)

  • 定義: 「その契約に使用した印」という役割を指す言葉です。
  • 中身は何か: 実印を使う場合もあれば、登録していない「認め印(角印など)」を使う場合もあります。
  • 用途: 一般的な業務委託契約、発注書、秘密保持契約など、日常的なビジネスシーンで使用します。

2. 実印と契約印(認め印)の比較表

2026年現在、法的リスクをどう見積もるかによって、どちらを使うべきかが決まります。

比較項目実印 (Registered Seal)契約印/認め印 (Common Seal)
登録の有無市区町村・法務局への登録が必要登録不要
証拠力(本人の証明)極めて高い(証明書で担保)中〜低(本人が押したと争う余地あり)
セットで必要なもの印鑑登録証明書特になし
電子契約での代替当事者型電子署名 (レベル3)立会人型電子署名 (レベル1-2)

3. なぜ実印が「最強」とされるのか?(民事訴訟法228条)

日本の法律(民事訴訟法第228条第4項)には、「二段の推定」という考え方があります。

  1. 一段目の推定: 文書に本人の印影があれば、本人の意思で押印されたと推定される。
  2. 二段目の推定: 本人の意思で押印されたなら、その文書全体が本人の意思で作成された(真正に成立した)と推定される。

実印の場合、印鑑証明書があるため「一段目の推定(本人の印影であること)」を覆すことが極めて困難です。そのため、裁判になった際、実印が押された契約書は非常に強力な武器になります。

参照元:法務省:押印についてのQ&A


4. 2026年の実務:電子契約ではどう使い分ける?

2026年現在、物理的なハンコを持つ機会は減りましたが、この「実印 vs 契約印」の構図は電子契約のレベルにそのまま引き継がれています。

実印レベルの契約 = 当事者型電子署名

不動産売買や高額融資など、紙なら「実印+印鑑証明書」を求めていた契約は、マイナンバーカード等を用いた「当事者型電子署名」で行います。これがデジタル上の実印です。

契約印レベルの契約 = 立会人型電子署名

日常的なNDAや業務委託など、紙なら「角印(認め印)」で済ませていた契約は、メール認証をベースとした「立会人型電子署名」で行います。これがデジタル上の認め印です。


5. まとめ:どちらを使うべきかの判断基準

  • 実印が必要なとき:
    • 法律で義務付けられている(一部の公正証書など)。
    • 相手が倒産した際や、契約の存否で揉めた際に、絶対に負けられない重要な契約。
  • 契約印(認め印)で十分なとき:
    • 取引が継続的で、信頼関係がある。
    • 少額の取引や、スピード感が重視される日常業務。

2026年のビジネスでは、「重要度に応じて署名レベル(ハンコの格)を使い分ける」ことが、コスト削減とリスク管理を両立させる鍵となります。

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